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①実際のエアロパーツ
乗用車の空力を表す単位として使えるものはCD値(D=ドラッグ、抵抗)とCL値(L=リフト、揚力)、それに荷重として発生する力Nのみです。(カッコヨサとかは考えません、不要ですから) 最近の乗用車では、低抵抗と低揚力を目指した車両形状を各社が工夫して市販しているのですが、エアロパーツというジャンルに限って言えばそうではないようです。なぜなら、基本的にエアロパーツというものを後付した場合、抵抗は確実に増え、揚力(ダウンフォース)の出方も変化してしまいます。また、そもそも町乗り程度の速度域では空力によって発生する力は車重の1%にも満たないため、車両の姿勢やその安定には影響できるレベルではありません。後席に1人乗せたほうがよっぽど変わるといえます。 具体例としてC-WEST社のフルエアロキットの例をあげます。宣伝用なのか絶対数値ではなくノーマル比○%低減という表現がなされていますが、傾向を見てみましょう。 ドラッグ 13.6%増加 フロント側リフト 2.79%低減 リア側リフト 295.27%低減 (GTウイング装着) C-WEST社はJAF戦に規定される各種レースで戦う第一線のエアロパーツメーカーです。つまり、この数値は今のモータースポーツでの空力の考え方を表しているといえます。数値を見てみると、エアロパーツを装着するとドラッグが増え、リフトが大幅に下がっています。ただ、リフトはリア側が減った分が大部分でありフロントは3%ほどしか変わっていません。これらの結果から考察してみます。 ・ダウンフォースは必要であり、そのためならばドラッグが増えても仕方が無い。増えた抵抗でストレートが遅くなってもコーナーで取り返す、もしくはエンジンパワーを上げる。 ・ダウンフォースは特にリア側で必要。リアタイヤ(駆動輪)をとにかく地面に押し付け、それに見合ったタイヤサイズ&サスペンションとし、グリップ力を向上させる。 このような考え方で作られたエアロパーツは車両側にもそれなりの変更を要求するでしょう。とくにリア側で。 まとめます。エアロパーツは基本的に抵抗となり燃費と最高速度に響く。フロント側のバンパーやリップなどは数%ほどしか影響を及ぼさない、コストパフォーマンスでいえばリアウイングのほうがよいであろう。 ②理論 空気抵抗とダウンフォースについて理論上はどうなっているのかを説明します。 空気抵抗は前面が空気を受け止めることにより圧力が上昇し、その圧力で後方に向かって押されることによる形状抵抗と、空気そのものと車体の間発生する摩擦抵抗があります。 まず、前者の圧力による抵抗は車体の前面の形状と面積によって発生します。形状としては、空気を滑らかに渦巻かせないように受け流す形状が好ましいとされます。つまり、「角、線、面」が少ないほうが良いとされます。面積はとうぜん少ないほうが抵抗は減ります。 摩擦抵抗は空気そのものと車体が接している面積が重要なので、車体の裏を含む全表面積が少ないほうが好ましいとされます。さらに、空気を含むすべての流体(液体、気体)は渦巻く(乱流)と摩擦係数が増加するので、渦を作らないようにすることも重要です。 実際の自動車設計においてはほぼ空気抵抗≒形状抵抗と考えられており、モータースポーツなどの特別の配慮を要する場合のみ摩擦抵抗について考えるようです。 これらをすべて含んだ車両全体の空気抵抗を表す単位としてCd値があり、Cd値から抵抗を計算する式は以下のとおりとなります。 D(抵抗、N)=0.5×Cd×ρ(空気密度、高度0、20℃で1.293㎏/㎥)×V^2(速度、m/s)×S(表面積、㎡) この式の中の値を小さくすることが空気抵抗を減らすことになります。しかし、空気密度はほぼ不変であり、速度は落とすことはラップタイムが落ちるため、現実には形状の見直しや表面積を削る(=角を丸める、カウルの大きさを絞る)ことによるCdの低下しか方策はありません。 同じくダウンフォースの量を計算するには次の式を使います。 L(揚力、N)=0.5×CL×ρ(空気密度、高度0、20℃で1.293㎏/㎥)×V^2(速度、m/s)×S(表面積、㎡) となります。この式の中で速度、空気密度は不変としますと、ダウンフォースを獲るためには高いCL値の翼形を選びなるべく大きな翼面積を確保する必要があります。 空気抵抗の低減について実に明快な答えを体現している方がいらっしゃいます。 ttp://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080121_aero_civic/ 開口部の縮小、車体延長による全体の空気流れの改善など、主に形状抵抗の削減に心血を注ぐことによる空気抵抗の低減のようです。日本でいう高速道路のような環境で36km/Lで走行可能だそうです。 |
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